【  白峰3山(北岳〜間ノ岳〜農鳥岳)  】  3,193m

〜 平成26年8月4日(月) 〜

 7時10分に博多駅に集合し、新幹線に乗り込む。
 これから南アルプスの白峰3山縦走に出かける。

 クラブツーリズムの添乗員は長田さん、新幹線の駅では博多駅から6名、新小倉駅から6名、新山口駅から4名が乗り込み、総勢16名というメンバーである。
 新小倉駅から小島さんと和間さんが乗り込まれてきた。昨年、奥穗高岳に登った時の同行者である。久しぶりの再会に笑顔で会釈を交わす。

 11時前に名古屋駅に着いて小型バスに乗り替え、南アルプス市へ向かう。
 現地ガイドの2名も名古屋駅からバスに同乗、桐山さんと橋本さんの2名で、桐山さんは漫談師かと思われるくらいにおもしろおかしくしゃべりまくられるが、飛騨山岳ガイド協会の理事長をされている重鎮である。

 白峰3山とは、北岳、間ノ岳、農鳥岳の3山を指すが、北岳は富士山に次いで2番目に高い山、間ノ岳は3番目(昨年、標高の見直しで4位から奥穗高岳とならんで3位となった。)の山である。よって2番目、3番目の山を一気に踏破することになる。
 また、この北岳と間ノ岳の標高3000mを超える稜線はわが国で最も長い稜線である。

 我が国第2位の山にしては北岳の名はあまり知られていないが、平家物語の1節に「北に遠ざかりて、雪白き山あり。問えば甲斐の白峰という。」とある。よって北岳は知らなくても、 この甲斐の白峰と言えば分かる人が多い。
 深田久弥氏は「この山があまり知られていないのは、この山が謙虚だからである。」と言い、「それでいて高い気品をそなえている。」とも言われている。
 美術・デザイン評論家の勝見勝氏は「日本中でどこが一とう美しいかと訊かれたら、私は白峰の周囲だと答えるだろう。」と断言されている。

 我が国で富士山に次いで2番目の山ではあるが、日本アルプスで見れば、その主峰である。
 その憧れの北岳に登り、標高3000mを越える日本一長い稜線を歩くというのが今回の山旅である。

 12時過ぎに恵那SA着、同25分に出発、13時15分に酸ケ根ICから高速を降りて途中コンビニに立ち寄り、14時10分に南アルプスアルペンルートバス乗り場がある 「仙流荘」に着いた。
 ここで不要な荷物はバスに預かってもらえるので助かる。登山靴に履き替え、履いてきたウオーキングシューズと温泉用の着替え等をナップザックにおさめて預かってもらう。
 14時20分発、ここからは専用バスにて林道を走っていく。この林道は54年の開通であるが、一般車の走行はほとんどなく、このバスの専用道路みたいになっている。無線でバス同士の離合をうまくさばいている。
 隣に添乗員の長田さんが座られたので「(同じ添乗員をされている)野曽さんは元気ですか?」と聞くと、「桜島・錦江湾遠泳大会」に参加するために休暇中であった。さすがに体格のいい野曽さんであると感心していると、学生時代は水泳部に所属されていたとのこと。(帰ってネットで確認すると台風12号の影響で大会は中止となっていた! 野曽さんは台風通過後、一人で泳ぐつもりではないだろうか?)

 15時10分に北沢峠着、ここで乗り継ぎ同40分発、16時10分に広河原着。インフォメーションセンターに立ち寄り、吊り橋を渡るとそこが広河原山荘であった。2間に総勢19名が収まる。一人一枚ふとんが確保できたので十分なスペースであった。

 18時から夕食、こぶりのグラスワインがサービスでついていたが、まずは生ビールで皆と乾杯する。
 食事を済ますと皆、何もすることがない。
 
小生は10月に予定している信州ドライブ紀行のプランを検討しながら休む。
 

〜 平成26年8月5日(火) 〜

 4時20分起床、朝食を済ませて5時50分出発、これから北岳を越えて北岳山荘まで向かう。
 天気はよく汗ばむほどの陽気である。16名を2班に分けて出発する。登り始めから結構な勾配があり、ゆっくりとしたペースで休み休み登っていく。
 小休止時に日焼け止めを塗っていると、長田さんが「花田さん、頭の上にも!」と、言い難いことをズバリと言われる。さすがにベテラン添乗員さんである。・・・それとも本当に心配して助言してくれたのだろうか?
 メンバーの荒川さんはガイドの桐山さんの案内を後ろに伝えられる。何ともさわやかな声で快活に伝わってくる。この荒川さんのお陰でメンバー全員が癒された。しかしながら御主人は山に興味がなく、また一族で山に関心がないらしく、今回もこっそりと出てきましたとのこと。明るい声の裏には荒川さんなりのご苦労があった。

 8時35分に二俣着。 ここでほどほどの休憩をとって50分出発、白根御池小屋がある草スベリ方面には向かわず、右俣コースへ進む。30分ほどたって、Kさん夫婦の奥さんが足がつったとのことで、しばらく待機する。その内に小雨がぱらつきだしたので雨具を着こむ。

 現地ガイドの橋本さんがこの夫婦に付かれ、残りは登り続ける。ここで30分ほどのロスタイム。
 11時45分に小太郎尾根へ出た。ここからは少し緩やかな登りになる。

 12時25分に肩の小屋に着いた。またここで中休止する。ここではうどんやラーメンがよく売れていた。
 12時40分出発、雨は時々降って後はガスがかかる。
 13時20分、3,192mの北岳山頂に着いた。ガスがかかっているものの雨や風もおさまり絶好の写真タイムとなった。皆交代で写真を撮り合う。
 ここからの絶景を期待していたが無理であった。さすがに日本アルプスであると妙に納得する。

 50分出発、出発と同時にまた風が強くなり、途中あおられそうになりながら稜線を歩き、どこまでが北岳の肩で、どこからが稜線なのか分からないままに15時15分に無事北岳山荘に着いた。遅れられたご夫婦も15分後には無事山小屋に着かれた。
 この小屋は、黒川紀章氏の設計により1977年に完成した山小屋(2009年から10年に一部改築)であるが、外観は三角構造物で確かに見応えがあるデザインであるようだが、内部のしかも3階部分の屋根裏部分のスペースは狭く使い勝手が非常に悪い構造になっている。3階をあてがわれた人たちは階段を上がるのにも苦労されていた。

 夕食前に濡れた衣服を干した後、部屋で円座になって缶ビールを飲みながら談笑する。今回は、夫婦は一組のみで、後は一人参加かあるいはグループ参加である。小雨の中での登山であったが、皆満足そうな顔をされている。これも日本第二の高峰の為せる業 であろう。

 山小屋の窓から外を見ると、夕景の富士山が顔を見せていた。明日は期待していいようだ。ここで晴れ男の真価が問われることになる!
 
 

〜 平成26年8月6日(水) 〜

 4時30分起床、朝食を済ませて5時50分に出発する。
 稜線の左側には何もさえぎるものがなく、ずっと富士山が見事な山容を見せている。その富士山に見守られながら歩いていく。若干風が強いが見事な青空である。

 6時25分に中白根山山頂着、ここでも3,055mある。小休止して出発、7時45分に3,190mで日本第三位の間ノ岳山頂に着いた。記念の写真撮影が忙しい。

 今日は天気にも恵まれ、高山植物を愛でながらの最高に感動の山旅となった。

 8時ちょうどに出発、まだ8時である。9時20分に農鳥小屋に着いた。
 小休止し出発、10時35分に西農鳥岳(3,050m)山頂着。小休止し出発、11時25分に農鳥岳(3,026m)山頂に着いた。
 農鳥岳の名前の由来は、農作業を始める春と秋に、残雪や降り始めの雪の形が鳥に見えることからであるが、同じように雪の形(雪形と称される)で名前が付けられた山の名には、白馬岳、蝶ヶ岳、五竜岳、爺ケ岳、各地にある駒ケ岳などがある。

 11時45分出発、12時30分に稜線から下に降りる分岐点に着いた。ここからは一気の下りになる。もはや富士山も見えず、ただ黙々と下山するのみである。
 小休止しながら、16時30分に無事大門沢小屋に着いた。
 後半のグループが降りてくるまで缶ビールを飲みながら待つ。30分遅れてやっと降りてきた。メンバーの中に膝を痛められた方がおられたようだ。
 ここで、山本さんが「晴天の下で、絶景を堪能しながら全員が無事下山できた。」ということで、ツアーメンバーを含めた全員に缶ビールを1本づつふるまわれた。なかなか剛毅な方である。
 この山本さんは、北九州市八幡区からの参加で、税理士事務所の所長をされている。親子2代目になるが、現在は更に3代目になる息子さんにまかせておられるようだ。ご本人は山を堪能されている。チベットには5回も行ったそうで、今度は岩崎元郎氏に誘われてまたエベレストのベースキャンプ地まで行くとのこと。たまたまチベットのホテルでヒマラヤの本を読んで魅せられたとか。これで74歳とまだまだ元気で活発である。
 ガイドの桐山さんによると、山本さんの財布から1万円札があふれていたらしい。

 ここの小屋は、まさに泊まるだけの小屋といったたたずまいで、しかも宿泊者が多く、一つのふとんに2人で寝てくれとのこと。山本さんと同禽することになった。山本さんとしばらく山や旅の話で盛り上がる。
 小柄な山本さんだったので、お陰で特に気にすることもなく熟睡することができた。
 

〜 平成26年8月7日(木) 〜

 4時起床、朝食を済ませて5時45分出発、今日は下山していよいよ帰路につく。
 結構な勾配を滑らないように気をつけながら下っていく。小休止を繰り返しながら、早川水系発電所取水口を通過し、8時55分に河川工事中の個所まで降りてきた。新たな砂防ダムも建設されていた。

 休憩所で小休止し出発、9時45分に発電所まで無事下山してきた。ここからは舗装された車道を歩
いて下りていく。 橋を渡った所の駐車場にバスが待機していた。運転手さんが手を振って迎えてくれていた。
 9時55分駐車場着、後の組も無事降りてきて、10時10分にバスに乗り込み出発、登山靴を履きかえると足も軽い。
 

 乗り込んですぐに山本さんからこそっと缶ビールをいただいた。事前に調達されていたものである。下山した直後のビールも至福ののどごしであった。
 10時20分に西山温泉の「湯島の湯」へ。ここは本日は休業日であったが、クラブツーリズムのために貸切で営業してくれたとのこと。洗い場は屋内にあるが、湯船は全て露天になっている。4日間の汗を流す。身体を抜けていく風が気持がいい。

 ここでもまた山本さんが全員に缶ビールをふるまわれた!

 11時10分出発、12時50分に新清水IC通過、13時10分に静岡SA着、ここで長めの休憩で、14時出発、15時40分に刈谷PA着、時間調整もあるようで、ここでも長めの休憩で16時20分出発、17時5分に無事名古屋駅に戻ってきた。ここで、山ガイドお二人と握手をして別れる。

 おみやげ、弁当、ミニボトル赤ワイン(オーストラリア産)を調達してホームへ。更にホームで冷えた缶ビールを調達して、18時13分発の新幹線に乗り込み、皆で乾杯し早速宴会を始める。長田さんから声が大きいですとたしなめられた。

 新山口駅で4名が下車、新小倉駅で6名が下車、21時40分、博多駅終点で6名が下車、ここで皆に別れを告げて、地下鉄に乗り込む。携帯で時間を連絡し、女房に地下鉄の駅まで迎えを頼んだ。22時15分無事自宅に戻ってきた。

  今回の山旅も最高に楽しい旅になった。小島氏、和間氏との奥穗以来の再会、添乗員の長田さん、ガイドの桐山さん、メンバーの万年青年の山本さん、癒しの荒川さん、石川仲良し3人グループ等々、それぞれに素晴らしい方々と同行できたお陰である。

 またどこかの山での再会を期待したいものです。

 今月末には白馬岳、9月には紅葉の大雪山、11月には「O型山友会」の英彦山懇親会を予定している。
 秋の信州高原ドライブ旅は、≪福岡〜門司〜大阪〜木曽駒〜諏訪湖〜ビーナスライン〜美ケ原〜上高地〜乗鞍岳〜飛騨高山〜大阪〜門司〜福岡≫と概ねのラインが決まった。
 しばらくは山旅で忙しい! 
   
 

(ゆっくり休憩時間を含むタイム)
北岳登り;7時間30分  北岳〜農鳥岳;7時間  農鳥岳下り;9時間