【  槍  ヶ  岳  】  3,1 80m


〜 平成25年7月26日(金) 〜

 7時25分、博多駅ひかり広場に集合し、添乗員さんのチェックを受けて、7時45分発ののぞみに乗り込み、これから名古屋に向かう。今回は憧れの、日本のマッターホルンである「槍ヶ岳」に挑む。

 ツアーは総勢12名、女性4名、男性8名で、一組の夫婦と男性2人連れ以外はすべて単独参加である。
 クラブツーリズムの添乗員さんは昨年、西穂独標、立山三山縦走時の野曽さんであった。一昨日、北アルプス表銀座コースから帰ってきたばかりで、続けての槍ヶ岳になるとか。全くタフな方である。痩せる暇もないらしい。

 車中で、女房手作りのサンドイッチを食べる。今回、女房は槍ヶ岳は無理だろうと単独参加にしたが、その内に日本アルプスの手ごろな山に連れていくこととしよう。

 11時11分、定刻に名古屋に着いて、バスに乗り換えて上高地へ向かう。
 12時55分、ひるがの高原SAで小休止、13時15分同発、14時ちょうどに昨年楽しんだ「飛騨そばの里・板倉ラーメン」を通過する。14時50分、上高地着。

 上高地へは観光で来たのみで、ここからの登山は初めてのことである。これで一人前のアルピニストになったようで、新たな感動が湧きあがってくる。

 山に不要な荷物をバス内に残して下車し、山支度を整えて15時25分に出発する。山の現地ガイドは宮崎さんで、サラリーマンからの転職とのこと。

 15時25分出発、16時10分、かなり早く45分で明神池に着いた。小休止して20分に出発、17時10分に本日の目的地である徳沢園に着いた。この宿は、井上靖の「氷壁」の舞台となった宿である。

 12人部屋に男性8人が入る。おしくらまんじゅう状態を想定していたので、余裕があってよかった。
 早速風呂に入る。石鹸は使えないので、タオルでこするだけである。それでも十分にくつろぐことができた。湯船につかっていると、ここは「氷壁」の宿であるが、何故か川端康成の「山の音」が頭をかすめた。

 風呂からあがって、若手のYM氏を誘って小屋前で生ビールを飲む。後でわかったことだが、YM氏は現職の刑事であった。山はまだ始めたばかりとのこと。黄昏時の山でのこの時間が最高に幸せを感じる。その内に男性二人連れのYG氏、AG氏、ガイドの宮崎さんも見えて、ミニ宴会になる。目の前の水場では、若い女性グループが談笑中で、皆の目腺がどうしてもそちらから離れない。珍しく野曽さんは出てこなかった。

 夕食にはステーキが出た。生ビールは既に飲んだので、今度は赤ワインを飲む。山小屋の夕食で、ステーキで赤ワンを飲めるとは!

 食事を終わると、山小屋では何もすることがないので、早めに休む。これで初日が終わった。


〜 平成25年7月27日(土) 〜

 4時20分に起きる。朝食用のおにぎりを食べて、5時10分に出発する。外は既に明るい。
 広い車道を歩いて、6時10分に横尾着。ここから横尾大橋を渡っていくと涸沢に向かう。

 25分出発、ここからいよいよ本格的な登山道になる。1時間で一ノ俣着、小休止。7時30分出発、8時10分に槍沢ロッジ着。20分出発、9時に槍沢キャンプ地があるババ平通過、ここからアイゼンをつけて雪渓を登っていく。間もなく8月というのに結構な量の雪が残っていた。野曽さんによると数日前にはまだ多かったとのこと。

 アイゼンは、今年の冬に宝満山登山をする時に女房が山の店から購入してきたものであるが、おかげで助かった。女房に感謝!

 10時20分に雪渓を抜けてアイゼンを外し小休止、30分に出発、11時10分に天狗原分岐点通過、そのまましばらく登って、広い所に出て、11時40分、ここで昼食とし、長めの休憩タイムとなる。
 徳沢園特製の中華ちまき風のおにぎりを食べる。山で食べるものは何でもおいしいが、ごはんにしっかりと味がしみ込んだ特製ちまき風も格別においしかった。
   
 12時出発、小休止しながら登っていく。山荘近くになるとガラガラした岩場になり、ここでゆっくり登山組と2班に分かれて登っていく。

 14時50分山荘着。13時頃を目途にしていたので、かなりなゆっくり登山であった。ゆっくり組は30分ほど遅れて無事に着いた。
 山荘周辺から槍ヶ岳はガスに覆われているので、今日の登頂は見合わせることにする。

 山小屋では本館、新館、別館、北館、西館と分かれている。北館の北穂部屋に入り女性は下に、男性は2段ベッドの上に上がる。荷物を整理して玄関ロビーに出る。インターネットで確認すると、槍ヶ岳周辺の明日は晴れとの予報であるが、期待していいのか?

 談話室は満員なので、ロビーに座り込み、また昨日のメンバーにIT氏を加えて生ビール宴会が始まる。 このIT氏は元刑事であった。先週は乗鞍岳に登ってきたとのこと。男性二人連れのYG氏も元刑事で、ツアーメンバー12名中男性が8名、その中の3名が刑事とは恐れ入る。

 18時から夕食、食事を終えると、また何もすることがない。少し談笑して、早々とベッドにもぐりこむ。
   
    
〜 平成25年7月28日(日) 〜
   
 3時50分に起きる。外は風が強く、相変わらずガスがかかっている。
 5時に食堂で朝食、食後は待機状態になる。
 外に出て見ると、時折ガスが切れて山頂が見えるが、一瞬にしてまたガスに覆われる。

 このままガスは切れそうにないので、6時に登頂を目指すことになった。
 登る人も少ないので、急峻な岩場、鎖場、はしごを上って40分で山頂に着いた。事前に思っていたほど厳しい山ではなかった。

 見晴らしはきかないが、一瞬ガスが薄れて、絶景の雪渓が垣間見えた。これでよしとしよう。
 ここまできて登頂できなかったら、その失望感はいかばかりであろうと思うと、感動の登頂であった。
 山頂では、愛知から来た好青年3人と談笑する。まだ山を始めたばかりとのこと。これからも仲よく3人で山を楽しんで欲しいものである。

 30分足らずで下山し、荷物を整理して表に出ると、山頂の若者3名が下りてきていたので、また挨拶を交わす。お互いのこれからの無事の山旅を交わしあい、握手をして別れた。少し若さを分けてもらった。

 ツアーメンバー全員で集合写真を撮り、8時10分に出発する。10時40分に天狗原分岐に着いた。ここでアイゼンをつけて11時に出発、大雪渓を渡り、50分に氷河公園に着いた。天狗池も雪で覆われていた。

 ここで昼食休憩となる。周囲の雪渓と緑と山肌の色合いが絶妙で、さすがに北アルプスの景観と、またまた感動させられる。時折ガスが薄れて、槍ヶ岳の山頂が垣間見えた。

 12時10分に出発、アイゼンを取り付けたり、外したりしながら、15時40分に槍沢ロッジに着いた。
 荷物を整理して、風呂に入り汗を流す。山小屋では基本的に石鹸は使えないが、風呂があるだけで有難い。

 談話室でまた生ビール宴会を始める。途中から、野曾さん、男性一人参加のTOさん、鹿児島から参加の若い女性のTTさんも加わる。このTTさん、今回のために「槍ヶ岳に登るったい!」ツアーに6回フル参加してきたとのこと。おばさん、おじさん達に混じってなかなか元気な女性である。

 17時45分に夕食を済ませて部屋に戻る。
 男性二人連れのYG氏が携帯がつながらないとのこと。もっとも話すこともなく、「おい、生きてるか?」と聞くぐらいしか会話がないがとのこと。なかなかユーモラスなYG氏である。


 
〜 平成25年7月29日(月) 〜

 4時20分に起き、5時に朝食を済ませる。いよいよ今日は帰路に着く。
 朝から雨足が強い。前線の活動が活発である。

 ストームクルーザーを着こんで、5時50分出発、雨の中をただ黙々と歩いて下りていく。
 7時30分横尾着、40分出発、8時30分徳沢園着、預かってもらっていた荷物を受け取り、リュックに詰め込む。
 50分出発、9時30分に明神池着、45分発、10時35分、無事上高地に戻ってきた。

 現地ガイドの宮崎さんとここでお礼を言って別れ、11時10分バスセンター出発、30分に平湯温泉に着いた。
 ここで温泉に入り、露天風呂でくつろぐ。槍ヶ岳に登ってきたという感動がまたよみがえる。
 レストランで昼食となる。温泉上がりのビールがおいしい。

 13時40分出発、15時ちょうどにひるがの高原SA着。20分出発、16時半ごろから事故渋滞に巻き込まれる。17時20分に大渋滞を抜けて、45分に名古屋駅に着いた。

 弁当と缶ビールをゲットし新幹線に乗り込む。横には来る時も一緒だったM氏が座られている。M氏はこよなく山を愛する方で、日本アルプスも数えきれないくらいに登ったとのこと。

 18時12分発、乗ってすぐに缶ビールで喉をうるおす。これで山旅も終わった。

 今回の山旅は12名という少人数であったが、男性8名中の3名が現・元刑事というのも奇遇であった。女性一人参加のKさんは、20歳から山を始めたとのこと、若干バランスが悪く、雪渓では何度もすべってころんで雪をさわって楽しんでおられたが、重そうなザックをしっかりと背負って歩かれているのには感心させられた。若夫婦は二人の世界がいいようで、あまり干渉はしないようにしていた。男性二人組はお互いによきコンビネーションで、お二人の人間性の素晴らしさに感動させられた。それぞれに山が好きな人間が集まり、同じ目的に向かって行動を共にする。人の出会いとはまことに面白いものである。

 ガスがかかっていたものの、無事槍ヶ岳に登れてよかった。登れなかったら、この山旅記録も残すかどうか迷うところである。

 今年のこれからの山旅は、9月初に奥穂、下旬に高千穂峰&韓国岳、10月初に涸沢の紅葉旅、中旬に大雪山の下見と予定が詰まっている。

 21時39分、定刻に博多駅着。地下鉄で室見へ、歩いて自宅に戻る。足慣らしに歩いて帰ることにしたが、暑さにまいった。女房に迎えを頼めばよかった。22時10分無事帰宅した。

 4日間留守にしたので、明日は朝から庭植え、鉢植えのチェックで忙しい。
 


登り; 12時間00分  下り; 10時間00分 (上高地起点・ゆっくりベース登山)