【  奥 穂 高 岳  】  3,1 90m


〜 平成25年9月3日(火) 〜

 7時10分、博多駅ひかり広場に集合し、添乗員さんのチェックを受けて7時29分発ののぞみに乗り込み、これから名古屋に向かう。今回は7月の槍ヶ岳についで、日本で3番目に高い奥穂高岳に挑む。

 ツアーは総勢18名、内女性8名、男性10名であるが、他に東京、横浜、関西からのツアーメンバーと徳沢園で合流し、総勢では93名になるとのこと。 添乗員7名、山ガイド7名と巨大団体になる。

 クラブツーリズムの添乗員さんは男性の福崎さんで、まだ若いが体格が素晴らしくいい。しっかりと山ガイドの資格も取得されている。

 いよいよ奥穂高に挑む。登山家の牙城であり、殿堂である北アルプスの涸沢に2連泊する。上高地から涸沢、穂高岳は多くのアルピニストの憧れであり、また多くの文筆家がこ のことをしたためている。 特に窯トンネルが開通するまでは、徳本峠越えで梓川沿いに到達していたが、この峠からの景観を「峠に立った時、不意にまなかいに現れる穂高の気高い岩峰群は日本の山岳風景の最高のものとされていた。」と幸田露伴も書いている。

 横には福岡市東区から参加のKGさんが座られている。山を初めて3年目になるとのことだが、山小屋泊まりは初めてとのこと。その横には大宰府から参加のTさんが座られている。Tさんは早速缶ビールでのどをうるおされている。聞くと80歳になるとのこと。3回目の奥穗に挑 まれることもさることながら、朝からビールを飲まれる元気さに敬服させられる。

 10時52分、定刻に名古屋に着いて、中型バスに乗り換えて上高地へ向かう。
 12時30分、ひるがの高原SAで小休止、 ここでホットコーヒーを購入していると、ツアー参加の女性が近づいてこられ、「高取中学の卒業では?」とのこと。「そうですが。」と答え、よく見ると懐かしいお顔であった。なんと55年ぶりにお会いする中学の同級生の旧姓Fさんであった。ご夫婦で参加で、九州の山はよく登っているとのこと。偶然とはいえ、何とも不思議な縁であり、また 頭が薄くなった小生を同級生ではないかと見分けられたFさんも大したものである。

 12時50分同発、14時20分に上高地に着いた。 現地山ガイドの岡崎さんに挨拶し、ストレッチをして50分に出発する。今日も景観は素晴らしい。上高地に来たというだけで感動で気持ちが高ぶり足も軽い。

 40分ほどで明神着、小休止。15時45分に出発、明神から少し歩くと徳本峠への分岐が右手に現れる。梓川に沿って、見なれた風景を満喫しながら16時30分過ぎに徳沢園に着いた。 上高地からの標高差は100mなのでここまではハイキングコースである。徳沢園は今回で2回目の宿泊になる。

 他の地区からのツアーメンバーも到着しているようで、風呂は混雑しているようであるが、しばらくすると少なくなっていたので、この合間を見て汗を流しに風呂に入る。7月にもここで汗を流したのが懐かしく感じられる。

 18時からバーベキューの夕食で、外で焼いたものが食堂に運び込まれる。鶏肉、牛肉の串焼きがうまい。前回同様に生ビールを飲み、次に赤ワインを飲む。他地区からのツアーメンバーと今回の山旅の話で盛り上がる。

 部屋に戻って、荷物の整理をして休む。明日はいよいよ涸沢に向かう。


〜 平成25年9月4日(水) 〜

 5時20分に起きる。洗面を済ませて外に出てみる。天気はいいようだ。前穗の山頂が朝日に映えている。

 食事も順番で、九州は7時からとなる。食事を済ませて昼食用の弁当を受け取り部屋に戻って出発の準備をする。

 今日はコース別に出発となる。奥穗コースは総勢40名が参加で、3班に分かれ、九州は7時45分に表に集合となっている。他に北穗コース、涸沢散策コースとある。

 現地山ガイドは7月の槍の時の宮崎さんであった。挨拶を交わす。ストレッチをして8時ちょうどに出発する。9時ちょうどに横尾着。ここでヘルメットを受け取り、 ザックにくくりつけて9時20分に出発する。

 前回は槍ヶ岳に向けて直進したが、今日は横尾大橋を渡って涸沢に向かう。屏風岩を左手に見ながら10時35分に本谷橋着、小休止して50分に出発、結構な傾斜の岩がゴロゴロした道をひたすら登っていく。13時ちょうどに涸沢ヒュッテに着いた。 徳沢からの標高差は747mである。標準的なコースタイムは4時間強であるが、5時間かかってゆっくりと登ってきている。

 荷物をここにデポし、明日に備えて3点支持の練習に岩場に向かう。
 3点支持は、少しぎこちない人もいるようであるが、それでも奥穗を目指したいとは、それだけの魅力があるということであろう。

 練習を終えて、部屋割に従って部屋に入る。2階の狭い仕切りをくぐって部屋に入る。7人分のふとんが準備されていたが、今日から明日まではここに6名が泊まる。棚の上に枕が10個ほどおいてある。10月の紅葉シーズンには、ここに倍以上の人数が割り当てられることになりそうだ。 今年10月3日にまたここに泊まるので、心しておかなければならない。

 屋外のテラスに出て見る。少々雨模様で寒い。売店で生ビールにヒュッテ定番のおでんを買って、談話室に入る。KG氏と男性二人連れのKJ氏、W氏と4人で宴会を始める。話をしながらも、それぞれに涸沢に来て生ビールを飲んでいるという感動を味わっているようだ。

 17時から夕食となる。事務室に小屋番主人の山口さんがおられたので挨拶をする。福岡でのトークショーで話を聞いていたものだと自己紹介すると笑顔で挨拶された。

 また、生ビールを飲む。食事を終えて、談話室にて備え付けの本を読む。19時から映画があるが、既に福岡で見たものだったので、これにはいかず、ヨガ 体操で筋肉をほぐして部屋に戻り、明日のコースの確認をして休む。 
   
 夜中に目が覚めたが、土砂降りの雨であった。こんな雨では登山は無理であるが、夜の内に降るだけ降っておいてくれと雨に頼んで休む。

    
〜 平成25年9月5日(木) 〜
   
 4時20分に起きる。小雨模様であるが、降り疲れたのかおとなしい雨である。
 5時に食堂で朝食、5時50分に表に集合し、6時に出発する。既に雨は上がっていた。

 80歳になるTさんが、「涸沢ヒュッテを出て、ここまで登ってきて、息がヒュッていいよる。」と博多にわかを披露される。なんともユーモラスで元気な80歳である。

 涸沢小屋を経由して左手に向かい、ザイテングラートの取り付きに着いたのが7時50分、ここから岩尾根の急登となる。穂高岳山荘着9時20分、標高差681mを3時間20分かけて登ってきた。

 小休止して昼食用の弁当を半分だけ食べる。前の組が出発して、間をあけて9時50分にいよいよ奥穗高岳山頂に向けて登り始める。 最初のとりつきが最も厳しく、鎖場、はしご場の連続であるが、そこを越えると、あとは普通の岩場である。

 10時45分に無事山頂に着いた。3190m、日本で3番目に高い山の山頂である。ガスが晴れずに展望は効かない。が、一瞬ではあるが、ガスが切れて、目の前のジャンダルムが見えた。

 山頂で集合写真を撮る。

 11時15分に下山開始、途中で雨模様になり雨具を着こむ。汗ばむ陽気から一気に冷え込む。山の天気は移り気で常にそれに対する適切な対応が必要である。

 途中、はしご場が大混雑で、相当の時間雨の中を待たされた。12時30分に穂高岳山荘に戻ってきた。
 ここで弁当の残りを食べる。福岡でのトークショウにみえた穂高岳山荘の女主人は見当たらない。

 12時45分に出発、雨も上がって気持ちがいい。日本アルプスの景観を楽しみながら、途中2回小休止して、15時20分に涸沢小屋に着いた。ここでも小休止して30分に出発、下山途中の広場でストレッチをして16時にヒュッテに戻ってきた。他地区を含めたの大勢のツアーメンバーから拍手で迎えられる。感動のシーンであった。

 荷物を整理し、乾燥が必要なものを乾燥室に。整理が終わって、屋外デッキに出る。ここで飲む生ビールは最高である。昨日は談話室で飲んだが、今日は、待望の屋外デッキで穂高連山を眺めながら生ビールを飲むという 最高に至福の時間が流れる。しばらく楽しんで部屋に戻る。

 夕食前にまた屋外テラスに出て、涸沢カールの絶景を楽しみながら、また来月来るので、装いを新たにして待っていて欲しいとお願いしていると、Tさんが出てきてハーモニカ演奏を始められた。山の娘ロザリア、坊がつる賛歌、知床旅情等々を滔々と演奏される。小生が合わせて口ずさむ。最高にリッチな時間を持つことができた。

 後で聞くと昔から吹いてはいたが、本格的に練習を始めたのは10年ほど前とのこと。すなわち70歳から始められたことになる。これも改めて敬服させられた。小生も多趣味ではあるが、まだまだこれから 新たな挑戦にも頑張らないといけないようだ。

 17時から夕食となる。また生ビールを飲む。同席のメンバーKJ氏、W氏、F氏で、来年は北岳に登ろうと盛り上がった。ただし、ツーリズムの行程が「北岳〜日本一長い尾根筋〜間ノ岳」であれば、4名は参加すると申し入れることとした。

 食事を終えて皆部屋に戻り荷物の整理をする。

 19時から小屋番である山口さんのトクショーから抽選会があり、これに参加する。抽選会では九州組が大当たりで、「小屋番」のDVDや、Tシャツ、宿泊券が当たった人もいた。小生は涸沢ヒュッテのバッジをいただいた。

 抽選会を終えて皆部屋に戻っていったが、小生は屋外テラスに出て星空を観賞することとした。デッキには誰もいない。椅子に座って空を見上げる。久しぶりに見る満天の星である。このような見事な満天の星を 真近に見るのは昨年の西穗山荘以来になるのか。真上を天の川が流れている。時折流れ星まで確認できた。感動の星空である。星空に来月にまた来る旨を伝え感動に浸っていると、段々と人が増えてきて、騒がしくなってきたので部屋に戻る。

 明日はもう下山である。

          
〜 平成25年9月6日(金) 〜

 4時15分に起き、5時に朝食を済ませ、5時半に表に集合する。
 モルゲンロートに染まった穂高岳が見事である。その穂高岳に「1カ月後にまた来ます!」と挨拶する。

 山ガイドが「最高の下山日和ですね。」と笑顔で言われる。

 40分に出発、小休止を1回して、横尾着8時40分。透き通るような青空の中、秋が近づいている気配を感じながらの快適な下山である。

 55分出発、9時55分に徳沢園に着いた。ここでカレーの昼食になる。朝食が5時だったので、時間的には早いが、既に5時間近くが経過している。久しぶりのカレーはおいしかった。

 10時30分出発、11時20分に明神着、30分出発、12時5分に無事上高地の河童橋に戻ってきた。

 青空の中、梓川越しに穂高連峰が聳えたつ。昨日登ってきた山が見事な景観を見せてくれている。最高に感動の景観である。

 山ガイドの岡崎さんと別れ、バスに乗り込んで12時35分に出発する。

 13時過ぎに平湯温泉着、ゆっくりと温泉につかる。つい先日、槍ヶ岳の帰りによったが、今日は奥穂高の帰りに立ち寄っている。またまた感動がよみがえってくる。

 14時出発、15時22分ひるがのSA着、40分出発、17時過ぎに名古屋駅に着いた。少し時間があるので一旦解散となったので、KG氏、I氏とレストランに入りコーヒーを飲む。 小生の人生の楽しみ方の話で盛り上がった。

 18時12分発ののぞみで帰路に着く。駅弁と缶ビールで旅情を楽しむ。定刻に博多駅着。皆と別れを告げて地下鉄で室見へ、女房にメールで迎えを頼み、車で自宅へ。22時 過ぎに無事帰宅した。

  これで今年の日本アルプスの登山は終わったが、来月初めにはまた涸沢に行く。登山ではなく、涸沢の紅葉を見に行くツアーへの参加である。写真やビデオでは見ているが、一度は肉眼で見てみたい 絶景である。
 最高の景観に仕上がっていることを期待している。

 


登り; 11時間30分  下り; 10時間00分 (上高地起点・ゆっくりベース登山)