【  西穂高岳・独標  】  2,701m

〜 平成24年9月14日(金) 〜
 

 今年最後の日本アルプス紀行になる。

 今回は、クラブツーリズムの西穂高・独標までの登山ツアーである。西穂高岳までは上級者向けとなっており、簡単には登れそうにないので、今回はピークハントではなく、 手前の独標までのアタックで、初秋の穂高連峰から日本アルプスのパノラマ景観を楽しみたいと思っている。

 加工中のひょうたんを収納し、2時間かけて全ての植物への水やりを済ませ、高速バスで小倉駅へ。15時半に集合し、そこからシャトルバスで門司港へ向かう。

 今回は18名の参加で、先月の立山ツアーの添乗員であった野曽さんがまた添乗される。野曽さんは先週に引き続いての西穂高となるとのこと。 また、唐松岳へのツアーも同様の日程・行程で組まれており、立山ツアーに参加された二人の女性がこのツアーに参加されていたので、挨拶を交わす。

 フエリーに乗船し、船室で寝場所を確保して、さっそくレストランへ。同室の筑紫野市から参加のKさんと一緒になり、生ビールで乾杯する。黄昏時のディナークルーズがこのツアーの楽しみの一つとなっている。

 ビールの後は焼酎の水割りを飲む。前回は生ビールを2杯飲んで寝たが、エンジン音や振動が眠り薬にはならず、浅い眠りのままで朝を迎えたので、今回は焼酎を飲むことにした。
 Kさんと色々な話をするうちに、原子力発電の話になり、現状においては我が国の原子力発電の重要性は何ら変わっていないので、安全性を確認できたものから早期に再稼働していくべきだと盛り上がった。

 野曽さんが唐松岳の添乗員と一緒に横のテーブルに見えた。これから大宴会が始まるのであろう。引き上げる時に、「あまり飲みすぎないように!」と声をかけると、「朝までには終わります!」との返事。

 船室に戻って、Kさんが「私は宇佐出身で・・・」と話をされていると、ツアーメンバーの女性が「私も宇佐出身で、今は宗像にいます。」とのこと。小生が「私の親父の里も宗像で ・・・。」と話がつながり、人の縁に驚かされ、またこれが旅行の楽しみでもある。
 

〜 平成24年9月15日(土) 〜


 朝、4時半に起きる。焼酎の効果で、熟睡とまではいかないまでも、前回ツアー時よりもよく眠れた。

 5時半定刻に大阪南港に着いて、バスに乗り換える。ここでメンバーの中に小生と同じ性の方がおられたので挨拶を交わす。出身は宗像の泉ヶ丘と言われたので、小生の親父の里 は宗像の山田ですと話す。

 宗像郡の津屋崎町から見えたUさんと同席し、5時55分に出発、名神高速道路を走り、7時20分に多賀SAでトイレ休憩。40分出発、東海北陸自動車道へ入って9時20分にひるがの高原SAで再びトイレ休憩 。40分出発、飛騨清美ICで高速を降りて10時30分にドライブステーション板蔵着。ここには板蔵ラーメンの工場 があって見学できる他、ラーメンの試食ができ、食事どころやおみやげ品売り場もある。 今、上映中の高倉健主演、ビートたけし共演の映画「あなたへ」は、ここ板蔵でもロケがなされたとのこと。
 試食の醤油ラーメンがおいしかったので、おみやげ用に5袋入りを1,050円で買った。

 11時発、12時に新穂高ロープウェイ乗り場に着いた。ここで、バスに残す山に不要な荷物を整理し、ロープウェイ乗り場に向かう。ロープウェイを乗り継いで西穂高口駅に着いたのが13時ちょうど。 標高1,117mから一気に2,156mまで上がってきた。
 少し雨が降り出したので、しばし様子を見ることにする。幸い20分後には雨も上がり、軽くストレッチをして30分に出発する。山ガイドはTさんという女性のガイドさん。

 登り下りを何度かくり返し、途中2回小休止して、山小屋に着いたのが15時10分であった。山小屋の前は人であふれている。今日は宿泊者も相当に多いらしい。テントは「本日分は受付終了」と表示が出ていた。予約なしでテントをかついで来た人はどうすればいいのか。

 受付も順番待ちで大混雑状態である。少しまた雨がぱらつきだし、軽く汗をかいた身体が冷えてきたので、防寒着を着こむ。やっと部屋に案内されたが、極端に狭い。京間の8畳といった部屋に18人が詰め込まれる。片側に8人が肩を寄せ合って座ってみると、それだけで一杯であった。16人まではなんとかなりそうであるが、18人はとても無理である。全員が横になって寝ればなんとかなりそうであるが、寝返りもできない状態になる。

 この部屋に18人は無理だろうと不満をいっていると、久留米市から見えたIさんが、「紅葉時期の涸沢はこんなものではない。とんでもなく押し込まれる。」と話が始まる。このIさんは常に今回のツアーのムードメーカーであった。
 それでも文句を言っていると、野曽さんと山ガイドのTさんが、別室の自分たちのスペース2人分を提供しますということになり、これでなんとかおさまった。

 食事は19時からとのこと。まだ時間はたっぷりあるので、外にビールを飲みに出ることにする。小雨がぱらついていたので、誰も出てこない。少し雨に打たれながらも、山の夕景に囲まれて飲むビールはうまい!  テーブルの前の席に座った東京から来たという山ガールにつまみを分けてもらう。

 少し雨が強くなってきたので、ビールをかかえて部屋に戻る。
 部屋の窓からは焼岳の雄姿が見えている。しばらくすると雨も上がったようで、部分的に赤く染まった雲と、雲の間から覗いている陽の光が素晴らしい景観を見せている。その夕景をカメラにおさめる。

 部屋ではぎっしりとふとんが敷かれているので、その上に座り込み話をするしかない。一人台湾から参加の女性がおられたので、しばし台湾の話で盛り上がる。台湾の山の阿里山に話が及ぶと、バナナのたたき売りの口上に阿里山が出てくるとの話に発展していき、Iさんと小生で「春よ三月春雨に・・・」で始まるその口上をお披露目する。その内に中国語講座が始まり、台湾と中国の関係になってきたときにちょうど食事となった。

 食事を済ませて部屋に戻り、窓から外を眺めると、雨も上がり満天の星空であった。今にも空から星がこぼれおち、窓から飛び込んできそうなくらいに星が多い。その星を眺めながら、おしくらまんじゅう状態で横になる。

 今日は、山小屋まで来ただけで、いよいよ明日がメインである。星に明日の晴天をお願いしてやすむ。


〜 平成24年9月16日(日) 〜


 朝、3時前に起きる。窓の外には相変わらず大小の宝石をぎっしりとちりばめたような満天の星が輝いている。

 4時前に山小屋の表に集合し、軽くストレッチをして出発する。まだ真っ暗なのでヘッドランプの明かりを頼りに山を登っていく。我々の前に、既に多くのグループが出発していった。西穂高岳を目指しているのか?

 25分で丸山に着いた。まだ真っ暗である。5分ほど休憩し、独標を目指す。空が白みかけ、だんだんと明るさを増してきた。はるかかなたに富士山が見えてきた。反対側には白山が見える。 ここから白山までが見えるのは珍しいらしい。ヘッドランプを取り外し、また登り続ける。

 独票が見えてきた。かなり多くの人が山頂にいる。その先のとがったピラミッドピークも目を引く。

 独標への最後のとりつきでストックを仕舞い、まずは岩場を後ろ向きになって降りていき、今度は手を使って、3点支持の要領でかなり傾斜がきつい岩場を登っていく。

 5時40分に独標に着いた。ここからのパノラマ景観は絶景であった。見事に澄み切った秋空のもとで、 目の前に西穂高岳、奥穂高岳の穂高連峰、反対側には焼岳から上高地、梓川から帝国ホテルの赤い屋根も見えている。来年は、上高地から奥穂高へのアタックを楽しみたいと思っている。

 十分に写真を撮って、6時5分に下山開始。岩場を降り、少し広いところにでて小休止し、ここで朝食タイムになる。遠くに富士山を眺めながら、少し大きめのおにぎり を2個を食べる。至福の時である。

 登山道の岩の間にナデシコ科の「岩爪草」が可憐な白い花を咲かせている。「登山道の岩場に根を張って花を咲かせるとは、けなげなものですね。」というと、野曽さんが「本当ですね、私みたい。」と応えられる。いかにも大柄なけなげさであった。

  6時55分、出発。途中で、山小屋の人が登山道沿いにテントが張られていた場所に「この場所でのテントは禁止」との看板を設置されていた。この禁止とは何を根拠にしたものなのか、山ガイドのTさんに聞くと、「危ないからかな?」との応えで、よくわからなかった。帰って調べてみることにしよう。

 
※ ネット検索結果、通常、国立公園内はどこでもテントを張ることができないようになっているとのこと。また、山小屋が周辺の登山道等の整備も行っているので、山小屋が注意喚起をしているのか。

 丸山に着いた。登ってくる時はここは暗かったので、ここで写真タイムとなる。小生の声かけで、ツアーメンバー全員で集合写真を撮る。 これで今年の日本アルプス3山すべて集合写真が撮れた。

 8時ちょうどに無事山小屋まで下山してきた。計画どおりの時間であった。

 ここで荷物の整理をして、25分に出発する。

 下山しながら、台風の話になり、「明日福岡に帰ったら、台風がお出迎えかな?」と話していると、久留米のIさんが「久留米には来るめー」と親父ギャグで返された。

 昨日登って来た時は、それほど感じなかったが、ロープウェイ乗り場まで結構遠い。

 9時50分にやっと着いた。展望台に出て、しばしまたパノラマ風景を楽しむ。

 10時10分に再集合し、ロープウェイへ。乗り継いで10時35分に下山。バスに残した荷物を取り出して、再度荷物を整理し、バスに乗り込む。来る時は二人席であったが、帰りは一人席でゆっくり座ることができ楽になった。

 11時に出発、30分でアルプス街道・平湯に着く。ここで昼食をとり、温泉に入浴し汗を流す。露天風呂から眺める山も素晴らしい。

 13時ちょうどに出発、Kさんが横に座りたいとのこと、とことん好かれたものである。と、思っていたら、Kさんの席は最後尾で、このシートはリクライニングが効かず座り心地が悪いからとのこと。荷物を後ろにおいてKさんが横に座られる。

 15時5分に関SAでトイレ休憩、25分出発。17時ちょうどに草津SAにてトイレ休憩、20分出発。

 大阪南港近くまできて、すぐ前を来る時に一緒だった唐松岳ツアーのバスが走っていた。まったくの偶然で同じ時間になったものである。このツアーは時間の関係で昼食はバスの中での弁当になったとのこと。

 途中、少し渋滞にあったものの、18時25分に無事南港に着いた。そのままフェリーに乗船する。

 船室に入り、荷物を収めてレストランへ。まだ出港していないがレストランは開店している。Kさんと乾杯していると、早めに入浴から上がってこられた佐世保から参加のNさんが見え、改めて乾杯する。

 すぐ横のテーブルに立山ツアーで同行した唐松岳ツアーのお二人さんが食事中であったので、「唐松岳はどうでしたか?」と聞くと「素晴らしかった、ビデオに最高の景色だった。」との返事。 いつか唐松岳ツアーも計画するか。

 その内に、Sさんが見え、男性の一人旅Uさん以外の5人がそろった。Kさんが焼酎の900mlパックを買ってきて、もっと飲もうと盛り上がってきたが、焼酎を飲んでいるのは小生とNさんのみであった。

 焼酎の残りは、野曽さんに引き継ぎお開きとする。

 テレビで台風の状況を確認する。940ミリバールの強さで時速は30km、まだまだ勢力を維持して北上しているとのこと。明日の 早朝に北部九州へ最接近とのことだが、朝はどうなっているのか。


〜 平成24年9月17日(月) 〜


 朝、5時半に目が覚める。船は台風の影響で結構揺れている。立つとフラつくほどである。
 テレビで確認すると、まだ強い勢力を維持したまま北上している。
 女房にメールで福岡の状況を確認する。6時までは風も弱かったが、だんだんと風が強くなってきているとのこと。

 しばらくすると船内放送があり、1時間遅れて航行しているとの案内。 
 8時半の予定が9時半到着になる。揺れが少し治まってきたようなので、8時過ぎにNさんと朝食レストランへ。食事を食べだすと、再び船内放送があり、15分遅れで到着するとのこと。先ほどまでの1時間遅れは何だったのか。あまりにずさんな時間管理である。もっと正確な情報を乗客には知らせて欲しいものである。
 急ぎ食事を済ませて部屋に戻り、荷物を整理して船室を出る。

 船を降りてシャトルバスに乗り込む。小倉駅に着いて、皆に別れを告げて新幹線乗り場に向かう。割安の高速バスで帰りたいが、台風が気になるので少しでも早く帰りたいために新幹線にした。幸い少し遅れている程度で運行している。

 10時半過ぎに博多に着いて、女房に迎えを頼み地下鉄に乗る。11時過ぎに無事家に帰りついた。
 台風の影響で大きな鉢が倒されて割れていたが、その他には倒されているものはあるものの、女房が台風対策を行ってくれていたおかげで、それほどの被害はなさそうで安心した。

 
これで、今年計画した日本アルプス紀行は全て終わった。
 来年は、槍ヶ岳、奥穂高岳や他のツアーを検討することとしよう。
 しばらくは、日本アルプスの魅力から抜けられそうにない。

 今回も天候に恵まれ素晴らしい山旅になった。天気と、素晴らしい絶景を堪能させてくれた日本アルプスの山々と、それぞれ魅力的であった愛すべき同行者の方々に深く感謝したい。

 また、立山ツアーと西穂高ツアーと続けて添乗された野曽さんにも感謝!!!
 けなげな野曽さん、来年またお会いしましょう。
  


ロープウエィ駅〜西穂高山荘〜独標 : 3時間30分

独標 〜 山荘 〜 ロープウエィ駅 : 3時間10分