〜〜〜 に ご り 酒 に 関 す る こ と 〜〜〜 



 昔の職場はのどかであった。仕事が終わると、課長の机の周りを囲んだり、部長の了解をとって部長室に入り込み、よく酒を飲み交わしながら、仕事の話をしたり、遊びの話をしていた。まさにノミニュケーション時代であり、このころはメンタルヘルスとかいう言葉もなかった。古きよき時代であった。最近は世の中が何となく余裕がなくなってきているように感じる。そのために飲むときは皆に冷酒を勧めてノミニュケーションに努めている。
   
 そのころによく飲んでいた酒に諫早市にある黎明酒造のにごり酒「ささめ雪」があった。この黎明酒造はその後、東彼杵町の丁子屋醸造と合併し太陽酒造となり、更に平成14年に杵の川酒造となっている。
 このささめ雪の前には「白馬」というにごり酒を飲んでいたが、どこの酒造メーカーであったかは定かではない。

 課の人数は15名足らず、普通はビールで乾杯し、次にこのにごり酒に移り、最後は普通の酒か焼酎という流れになる。このにごり酒をいつも2本購入しておく。冷やして飲むから日本酒の甘さが抑えられ、よけいにおいしい。ところが他課の人間が押しかけてくると、この2本が30分ほどでなくなってしまう。すぐに酒屋に電話し追加配達を頼む。評判の酒であった。にごり酒の仕掛け人はいつも小生であったが・・・。


 昔の新年の仕事初めというのは、まず局長の新年の訓示があり、それが終わると、昼からお神酒を上げ、新年の挨拶に見えた方とも一緒に飲み交わしていた。女性は着物を着て華やかなふんいきをかもし出してくれていた。
 ある新年のこと、「歌詞なし、3番、300曲」(歌詞がなくても3番まで歌える歌が300曲ある)と自称する局長が、各職場を回り、相当なご機嫌で当課におみえになった。早速 、件のにごり酒を差し上げる。「これはうまい!」とおかわりされる。その内、局長の自慢の歌が始まった。課長が合わせて踊りだす。なんという職場か!

 局長が消えた! 秘書役が当課にきて「ここまで来たことは確認できているが、この後が不明である。どこに隠したか?」とのこと。よその課を探しまわるもやはり どこにもおられない。しばらくすると秘書役がきて、「局長室で寝てた。」とのこと。にごり酒が効いて、気持ちよく横になっておられたらしい。古きよき時代のできごとであった。