〜〜〜  香 港 旅 行  〜〜〜 

《 平成12年11月16日 : 1日目 》 


〜 はじめに 〜


 今回の旅行は、かっての悪友連がいつもどおり酒を飲んでいて盛り上がり、それぞれ女房殿には迷惑をかけっぱなしだから、たまには女房を連れて海外旅行にでもいくかとなり、即座に香港行きが決定したものである。
 最終的には一人Oさんが仕事や家庭のことやで都合が悪くなったものの、その他のKさん、Nさん、Fさんおよび小生の4家族が夫婦連れでの海外旅行となった。なお、今回の香港旅行には北京に4年間留学していた娘Yも同行している。



 
福岡空港近くの契約済み駐車場に車を預け、空港に着いたのは集合時間である8時40分よりも30分も早かった。時間の経過とともにKさん、Fさん、Nさんが集まり仲間がそろってから今回お世話になる旅行会社H社の係員に聞くと、今回のツアーは我々9名と他には一組の夫婦だけとのこと。なお、今回のH社企画の旅行は添乗員がつかず、現地係員が対応するタイプのもので、このようなツアーに参加するのは初めてである。
  慣れない手つきで、あれやこれや言いながらそれぞれ出入国カードに必要事項を記入し(ツアー社に依頼すれば4,000円だがこれを節約したため自分で記載となったもの)、いよいよこれから10時40分 発のJAL753便にて香港へ向かう。  

 木曜日の福岡から香港への便は直行便なので時間の無駄がない。所要は3時間40分となっていたが、予定よりも10分早く14時10分に香港についた。なお、曇り空であったため雲の空き間からではあったが、13時50分くらいから真下に香港のビル街が見えだした。(座席は右側にて)
  ついでに、機内座席のパンフによると、福岡から香港までは距離にして2,025km(地図ではもっとありそうだが)となっていた。この香港新空港は、1998年にオープンしたもので、デザインもよく何となく福岡国際空港にも似ているような気がする。 

 14時20分にバス乗車。この旅行記はメモを見ながら書いているが、14時10分に香港空港について同20分にはバス乗車というのはおかしいな?と考えていると、時差の修正をしていなかった。メモどおりに書いているとこうなったが、空港について1時間時計を遅らせ香港時間にしたためのマジックであった。改めて香港時間の14時20分にバス出発。なお、ここで大阪から来たグループ20名と合流したため、ツアーは総勢で31名となった。現地ガイドさんはH社香港支社の「張」さんという方で、語尾に変な癖がついているようだが、まあ日本語は達者なようである。これからバスにて世界第2位の吊り橋である「青馬大橋」を渡り、新界地区に入って落馬州まで行く。香港の端から端まで行く感じであるが、時間にして40分で「落馬州旧国境展望台」に着いた。香港は広いようで狭い。 この新界地区は「New Territories」と称されているが、これは元々英国が1842年に香港島のみ占領していたものが、その後1898年の北京条約にて九龍北部から新界地区、235の島まで租借権を獲得していることからこの名前が付いたのか
 展望台から間近にある国境線、その先にある中国本土・新センを望む。国境線は単に線引きのための仕切りがあるようなもので、緊張感が感じら れるようなものではない。

 新センの高いビル群が間近に見える。新センは経済特別区であり、自由経済を取り入れてからその発展は著しい。最近は日本人の観光客も多いとか。この展望台も1997年の返還前は多かったらしいが、返還後は観光客もめっきり減ったそうだ。それでも香港は返還後50年間はそのまま特別区扱いされるため、国境線もそのまま残され、かつ香港から中国に入るにはビザが必要なので返還後も何ら変わっていないようだが・・・。

 
ここから「黄大仙寺院」に向かう。移動所要時間は25分。 
 ここは香港最大の寺院で、いつも参拝者が絶
えることはないらしい。

 竹筒に入った「ぜいちく」みたいな占い棒をガラガラ揺すって1本だけ振り落とし、この飛び出した棒で占うという独特の占いもある地にひれ伏して祈っている人も多い。
 アグネスの「香港指南」によると、「香港人は運命とか、自分で理解できない神 秘的な力に対しては疑問なしで信じてしまうところがある。従って、このお寺で引くおみくじは神からの言葉と信じている人が大勢いる。」とのこと。

 この寺院の近くに官営のアパートがあった。 
 日本円にすれば月の収入が10万円程度までの人しか入ることができず、クーラーは禁止、広さ20uの1部屋しかなく、トイレも共同しかない。家賃は 月5千円程度とのこと。
 香港は狭い土地に人がひしめきあっているためビルが上へ上へと伸び高層ビルが林立している。これが香港の魅力ではあるが、一方ではとにかく土地の値段が高く、アパートやマンションも
膨大な価格になっているとのことで一般の人々の生活は大変なようだ。

 ここから夕食に向かう。夕食は「潮州城酒楼」にて潮州料理を食べる。潮州料理は味は薄めでいかにも素材の持ち味を生かした料理といった感じ。ビールは缶ビールで1缶30弗、紹興酒は1瓶180弗。まずはビールで乾杯し、紹興酒で気勢を上げるものの、皆わきまえたもので程々でおさえた。(ちなみにこの時点では、1香港弗は約14.5円)

  これからアバディーンとビクトリア・ピークの夜景を見に行く。まずは海底トンネルを通って香港島にわたり、香港島の裏側にある香港仔に向かう。この海底トンネルは官営ではなく、張さんに言わせれば「個人経営」で、建設は日本の熊谷組によるとのこと、1台10弗と安いが交通量が膨大で、相当の利益が出ているため税金が40%もとられているとか。車用に更に新らしいトンネルが開通しており、こちらは通行料金が40弗と高い。タクシーに乗る場合にはこのトンネルの通行料の帰りの分も支払わなければならないので、このトンネルの通り方にも注意を要するとのこと。

 バスの中で、夜景をとるためにわざわざ持ってきた3脚をトランクに入れたままだったと一人ぼやいていたら、Yが「お父さん、折りたたみ傘の頭のネジ山はカメラの3脚のネジ穴に合うサイズなので、傘を3脚代わりに使えるよ。」という。本当かな ?という感じで試してみたらこれがピッタリあうではないか。GOOD!!! Yを連れてきてよかったよかった。
 九龍の夕食場所から香港仔まで20分しかからなかった。 アバディンはうわさに違わず(特にうわさを聞いたわけではなく本で見ただけだが)金ぴかの照明で、対岸の水上レストランのジャンボもまさに本のとおりのたたずまいというか水の上だから浮きずまいと言うのか・・・であった。

 かっては日本人観光客は必ずここジャンボで食事をとっていたそうだが、あまりにツアー用の料理がまずいとのことで最近ではどのツアーもここでの食事はコースに入っていないそうだ。
 
 アグネスチャンも「ジャンボのツアー客用料理はまずいので、ここではこれをキャンセルして自分で食べることを進める。」と書いていた。

 更にここから、ビクトリアピークに向かう。が、山の中腹まできてなかなか進まなくなった。これは道路工事のために片道通行規制をしていたためで、この工事区間を抜けると一気に山頂へ着いた。それでもアバディーンから山頂まで約1時間かかった。まともであればこの半分の時間もかからないのではないか。
 

 夜景はさすがに美しい!!!

 
今日は曇っているため、夜景も75万弗程度しかないと張さんは言っていたが、やはり感激の夜景である。写真を撮りまくるもののどの程度写っているのかは不明。1枚でもこれはという写真がとれていればいいが。

  30分でここを立ち、これからそれぞれののホテルに向かう。今回のツアーでは香港一のリゾートホテルである「GOLD・COAST・HOTEL」利用を売り物にしていたが、このホテル以外に、九龍の「NEW・WORLD・HOTEL」と「GREAT・EAGLE・HOTEL」の計3ホテルに分宿することになっていた。それぞれのホテルに立ち寄り、最終的に「GOLD・COAST・HOTEL」についたのは、21時25分であった。これで長かった1日がやっと終わったと思ったが、これから更に新たなドラマが待っていた。

  部屋に入ってしばらくくつろぎ、まだ寝るには時間が早かったので、一人部屋を出てカメラをぶら下げ、海岸をぶらつく。こ のホテルがある屯門は新界西部の最大の都市で、埋め立て地に高層ビルが建ち並ぶ新興住宅地帯である。海岸線は3kmにわたりゴールド・コースト黄金海岸になっている。アベックがあちこちで寄り添っているものの、我関せずといったふりをしながら遠くの夜景を眺め、写真を撮りながら海岸線を歩き、それでも若干遠慮して少々早めに引きあげた。

 23時過ぎ頃からYの様子がおかしい。お腹の具合が悪いようだ。疲れがでたのか食中たりみたいなものか分からない。このまま治まるかどうか自信がな さそうだったので、張さんに電話したところすぐ病院へ行こうとなった。
 10分後にロビーで落ち合う。時間は23時45分。タクシーで屯門病院へ。途中、屯門の街を見回していると道路標識に「ここから曲がると病院がある」という表示(赤十字のマーク)がありすぐにわかった。緊急受付でパスポートと宿泊ホテルや部屋ナンバー等がチェックされ、次に第2受付でインターンみたいな若い医者から症状をあれこれと聞かれ、張さんの通訳のもとで何とかこれも終わり、しばらく待たされる。

  かなり大きな病院で、患者さんも次から次に来ている。とても深夜とは思えず、昼間と見間違うような感じ。張さんが1枚の紙をくれた。これには「非香港居民」と書かれ、「則毎日住院費為港幣$3,130」と書かれていた。要するに香港居民以外の人はこの病院に入院した場合は1日3,130弗」ということ。1弗14円としても約4.4万円也。旅行保険には入っているため心配はないが、それにしても香港がいかに住宅事情が悪く、マンションも1億円はするとはいうものの、病院入院が1日4.4万円というのは高過ぎるのでは???

 Yが医者から呼ばれた。2〜3質問され、 最初は張さんが通訳していたが、その内Yが中国語で直接答えていた。張さんも少々驚いていた。北京語でも話が通じたようだ。医者はさらにお腹を触ってみて堅い物がないから大丈夫とのことですぐ終わり、薬を1日分出すとのこと。今日はこのまま帰って、明日も具合が悪ければ又薬をもらいに来なさいとのこと。
 すべてが終わって、いくら支払えばいいのかと張さんに聞くといらないという。え?と一瞬耳を疑う。診察料も薬代もいらないのかと再度聞くといらないという。1泊したら4
.4万円もとるというのに、泊まらなければ無料とは一体香港という国の医療制度はどうなっているのか?

  帰りの車の中で張さんに確認すると、屯門病院は官営の病院であり、ホテルの近くにも他に病院はあったが、おそらくすぐには見てもらえないだろうと思ってこの病院を選んだということ(すぐに診てもらえ、まさに正解だった)、官営病院ではすべてこのような料金システムになっているとのことであった。
  ホテル着0時20分。このころにはYのお腹の痛みも大分治まってきたようだったが、もらってきた薬を飲み、しばらく様子を見て1時に寝た。長い一日がやっと終わった。